上に立つ人が善い人とは限らない理由
学校でも会社でも、なぜか「みんなのため」より「自分のため」に動く人が、前に出て残ることがあります。これは道徳の問題というより、構造の問題です。
- 欲望の引力:権力や地位は、強く欲しがる人ほど近づきやすい。
- 変質の作用:力を持つと、弱さや闇が増幅しやすい。
- 選別の錯覚:人は“分かりやすい強さ”(自信・勢い)に引っ張られ、適性を見誤る。
- 模倣の連鎖:周りは生きるために従い、空気に合わせ、悪が増える。
- 環境の育成:制度や文化が、善人を遠ざけ、悪人を呼び込むことがある。
- 閉鎖の腐敗:監視が弱く、固定化した場ほど不正が起きやすい。
恐怖と欠乏が強い場所では独裁が生まれやすい。逆に、対話と協力が回っている場所では、リーダーが強くなくても共同体は回ることがあります。

リーダーになりやすい資質
- 自信が強い人ほどリーダーに見えやすい:実力より“自信の演出”が評価を押し上げる場面がある、という研究があります。
- ナルシシズム(自己愛)が「リーダーに選ばれやすい」傾向:メタ分析で、自己愛とリーダーとしての“台頭”に正の関係が報告されています。
- 権力はブレーキを弱めやすい:力を持つと行動が大胆になり、共感や自制が揺らぎやすい、という理論・研究があります。
- 人は権威に従ってしまう:有名なミルグラム実験では、多くの参加者が権威者の指示に従い続けました。

なぜ“自己中リーダー”が増殖するのか
まず③の「選別の錯覚」。私たちは不安なときほど、落ち着いて見える人、声が大きい人に安心します。でもそれは安心感であって、善さとは別物。
次に④の「模倣の連鎖」。周りは「逆らうと損」と感じると、正しさより安全を選びます。すると、沈黙が増え、注意する人が減り、悪い行動が“標準”になります。ここで⑤⑥が効いてきます。チェックが弱い閉鎖空間では、悪い人が居心地よくなり、善い人ほど疲れて去ります。
でも希望もあります。構造は、設計し直せるからです。
- 目立つ“強さ”より、日常の誠実さを見る
- 1人のカリスマより、複数の目(相談先・透明性)を作る
- 「言いにくいことを言える空気」を守る
これは大きな革命じゃなくていい。小さな共同体(家庭・チーム・友人)から変えられます。

まとめ
あなたが「上の人が変だ」と感じるなら、それはあなたの感覚が壊れているのではなく、あなたの中の良心が生きているサインです。
光は、派手な人の頭上だけに降りません。むしろ、静かに踏ん張る人の胸の奥で、じわっと灯ります。
大切なのは「この場所がすべて」と思わないこと。どんな組織にも波があります。あなたは、波に飲まれる必要はありません。
今日できる最小の一歩は、“自分の心のハンドルを握ること”。従う前に一呼吸。飲み込む前に一度メモ。味方を一人増やす。
その小さな動きが、未来のあなたを守ります。