「昔はよかったな」は、心を止める危ないワード
「昔はもっとよかったな…」
ふとした瞬間、そんなふうに感じることはありませんか?
学生時代は毎日が自由で、今よりずっと楽しかった。
あの頃は笑っていたし、友だちも多かった。
でも、それは「今」がつらいから、余計そう思えてしまうだけなのです。
思い出をふり返ることが悪いわけではありません。
けれど、そこにばかり心を置いてしまうと、前に進めなくなります。
「過去の栄光」は、いわば“心のベンチ”。
一時的に休むのはいいけれど、そこにずっと座っていては試合には戻れません。
あなたの人生は、いまこの瞬間から作られます。
「昔」ではなく「これから」の自分にこそ、希望を込めていきましょう。
脳のしくみも「過去美化」を後押ししている
脳科学の研究によると、人はつらい記憶より楽しい記憶を強く残す傾向があります。
これは「感情のフィルター」と呼ばれ、過去をポジティブに“編集”してしまう性質です。
たとえば、スタンフォード大学の神経科学者ロバート・サポルスキー博士によれば、
「脳はストレスから回復するために、ネガティブな記憶を薄めるように働く」そうです。
また、仏教でも同じような教えがあります。
ブッダはこう語りました――
「過去にとらわれると、未来への一歩がにごる」(ダンマパダより)
つまり、過去はきれいに思えても、それはあくまで“記憶の加工品”。
本当に大事なのは、今この瞬間をどう生きるかということです。
「今のつらさ」も、未来のあなたを育てる栄養になる
あるサラリーマンの話です。
40代になって仕事のプレッシャーが増え、毎日「昔はよかった」とつぶやいていたそうです。
けれど、ある日ふと「いや、あの頃も地味にしんどかったよな」と気づいた瞬間、
笑えてきて、気持ちが少し軽くなったそうです。
それからは「未来の自分に、今の努力を見せてやろう」と思って、毎日小さな行動を積み重ねました。
半年後、彼は副業をはじめ、新しい人間関係も広がり、今では昔よりずっと自由に生きています。
この話のように、**「今は未来の種まき」**と捉えられるようになると、見える世界が変わります。
どんなにカオスな世の中でも、自分の心だけは整えることができます。
そしてその心が、未来をやさしく変えていきます。
「今ここ」から始める人が、未来を動かす人になる
過去にすがりすぎると、心は止まります。
でも、今に目を向ければ、心はまた動き出します。
あなたの人生は、あなたの手でいつでも再スタートできます。
大丈夫。今ここが“はじまり”です。