今の時代、
「このままで本当に大丈夫かな」
「でも、ここまで頑張ったし…」
そんな気持ちを抱えながら、毎日を耐えるように生きている人は少なくありません。
心理学には**「コンコルド効果」**という考え方があります。
これは、すでに時間・お金・努力をたくさん使ったという理由だけで、うまくいかないと分かっていても、やめられなくなる心のクセのことです。
行動経済学では、これを「サンクコスト(取り戻せない費用)に縛られる状態」と呼びます。
人は本来、「これから良くなるかどうか」で判断すべきなのに、
「ここまでやったから」「今さら引けないから」と、過去に引きずられてしまうのです。
日常にあふれるコンコルド効果
たとえば、こんな経験はありませんか。
・高いお金を払って買った本がつまらないのに、最後まで無理に読む
・解約しようと思っているサブスクを「もったいない」で放置
・SNSで見かける「合わない人間関係」から、なぜか抜けられない
X(旧Twitter)やThreadsでも
「合わない会社を辞めたら、人生が楽になった」
「やめた瞬間、体調が戻った」
という投稿をよく見かけます。
これは決して甘えではありません。
脳が“損をしたくない”と必死にブレーキをかけている状態なのです。

「もったいない精神」の落とし穴
日本では「もったいない」は美徳とされてきました。
物を大切にする心は、とても尊いものです。
でも社会学の視点で見ると、
この価値観が人や時間にまで適用されてしまうと、苦しさが生まれます。
・使わない物が家に増え、心まで重くなる
・冷蔵庫がいっぱいで、結局食材を捨てる
・不要な関係に縛られ、エネルギーが奪われる
哲学者エーリッヒ・フロムは
「人は“所有”に執着すると、生きる力を失う」と語りました。
持ち続けることが、必ずしも正解ではないのです。

人間関係こそ、いちばん厄介なコンコルド効果
特に多いのが、人間関係です。
・長年の付き合いだから
・家族だから
・会社だから
そうやって自分の心を後回しにしてしまう。
でも、心と体をすり減らしてまで続ける関係は、本当に守るべきものでしょうか。
心理学では、慢性的なストレス環境にいると
判断力や自己肯定感が下がることが分かっています。
「逃げたい」と感じるのは、弱さではなく健全なサインです。
「逃げる=戦略」という考え方
ビジネスの世界でも、「撤退」は重要な戦略です。
続けるより、やめた方が未来が開けることもある。
個人の人生も同じです。
すべてをやり切る必要はありません。
むしろ今の時代は、
やめる・手放す・距離を取る
この選択が、自分を守る知恵になります。

最後に
もし今、
「続けることが苦しい」
「でも、やめるのが怖い」
そう感じているなら、一度立ち止まってみてください。
大切なのは、
過去に使ったものではなく、これからの自分の心です。
逃げることは、敗北ではありません。
それは、あなたがあなたの人生を取り戻すための一歩です。
今は混とんとした時代。
だからこそ、軽やかに生きる選択を。
あなたの人生は、まだこれからです。