見せかけの平等に惑わされないで
「平等」と聞くと、すべての人が同じように扱われ、幸せに暮らせるイメージを持つかもしれません。けれど、現実はどうでしょうか?
たとえば、「共産主義」は平等を目指すはずの仕組みです。しかし、実際にはトップに立つ一部の人が特権を持ち、一般の人たちは不自由なまま――そんな国もあります。
でも、これは決して他国の話だけではありません。私たちが暮らす日本にも、見えない「上下関係」があります。学歴、会社名、年収、肩書き……こういったもので、人が評価されてしまう現実があります。
本当の平等とは、表面の「同じ」であることではなく、お互いの違いを認め合い、自由に生きられることなのではないでしょうか。
証明する言葉と出来事
たとえば、2021年に発表されたオックスフォード大学の研究では、「経済格差の拡大は、国民の幸福度を下げる要因になる」とされています。
また、思想家ジョージ・オーウェルは『動物農場』の中で、こう言いました。
「すべての動物は平等である。しかし、ある動物は他の動物よりもっと平等である。」
これは、平等をうたいながらも特権を持つ支配層の矛盾を風刺した言葉です。
さらに、ブッダの教えでは「すべての命は尊く、上下は存在しない」と説かれています。そこには、表面的な肩書きや財産ではなく、魂の平等があるという視点が込められています。
見えない不平等の例
「学歴フィルター」の現実に直面した学生(日本)
ある就活系SNSで話題になった実話があります。都内の私立大学に通うある学生(仮名・ユウタさん)は、就職活動中に大手企業の説明会予約フォームを開こうとしたところ、「この大学からはご参加いただけません」と表示されました。
いわゆる「学歴フィルター」です。
これは、大学名によってエントリーすらできないように自動制御されていたもので、就活情報サイト「OpenWork」でも同様の声が多数寄せられており、社会問題になりました。
彼はこう語っています。
「成績も資格も頑張ったのに、大学名だけで判断されるなんて…。日本って“平等な社会”じゃなかったんだ、と実感しました。」
表面では「誰でも挑戦できる」と言いながら、裏では見えない“格差の壁”が立ちはだかっている――これはまさに日本の縮図です。
アメリカの“フードスタンプ”制度に依存するシングルマザー
米国ニューヨーク州に住むアリシアさん(仮名)は、3人の子どもを育てるシングルマザーです。週6日働いても、時給が低く生活は苦しく、「フードスタンプ(生活補助)」に頼らざるを得ません。
一方で、同じ街の高層マンションには、株式資産で生計を立てる富裕層が住み、同じ市民でありながら生活環境はまるで別世界。教育の質も、医療の手厚さも、受けられるチャンスもまったく違います。
この格差の構造について、プリンストン大学の経済学者アンガス・ディートン氏はこう述べています。
「アメリカは機会の平等を掲げているが、実際には“スタートライン”に立てない人が多すぎる。」
形式上は“自由と平等の国”でも、実態は貧困の連鎖が続いているのが現実なのです。
本当の平等とは?
本当の平等は、誰かに決められたルールに従うことではありません。
「みんなと同じでいなきゃ」と思うのではなく、
「自分が大切にしたい価値」に気づくこと。
今、時代は大きく変わっています。
見せかけのルールではなく、
あなた自身の「信じる生き方」を見つける時です。