みんなの○○は、意外と正しい
政治・経済・歴史・人生。どれを語るにも、まず知っておきたい原理が2つあります。
今日はその1つ、「集合知」です。これは一言でいうと、みんなの知恵が集まると強いという仕組み。
人は1人だと、当てずっぽうでズレます。多めに見積もる人もいれば、少なめに言う人もいる。
でも人数が増えると、そのズレがプラスとマイナスで打ち消し合い、平均が現実に近づきやすくなります。
たとえば、瓶の中のガムボールの数当て。極端な答えが混ざっても、たくさん集めて平均すると、正解に寄っていくことがあります。
牛の体重当ても同じ。素人もプロも混ざっていい。むしろ混ざっているほうが、ズレが相殺されやすい。
面白いのは「顔」や「声」も似た話があること。たくさん重ねると、尖った特徴が薄まり、“平均の美しさ”に寄っていく。
つまり集合知は、人間が平均へ引っ張られる性質を利用しているんです。
ただし条件があります。
偏った情報を先に入れないこと。「だいたい700個くらいだよ」みたいに誘導すると、みんな同じ方向にズレて、集合知が壊れます。
さらに、上司の圧や空気の圧があると、人は本音を言えなくなる。これも集合知の敵です。

有名な実験が、答えを出している
集合知は、気分の話ではなく、実験や観察で何度も出てきます。
有名なのが、統計学者フランシス・ゴルトンが紹介した「牛(正確には去勢牛)の体重当て」です。1906年の品評会で約800人が参加し、真の重さ(約1,198ポンド)に対して、真ん中あたりの予想(中央値)が約1,207ポンドと1%程度のズレだったと報告されています。
「誰もピッタリ当ててないのに、みんなを集めると近づく」。これが集合知の象徴みたいな話です。
そして、この考え方を一般向けに広めた本としてよく挙がるのが『The Wisdom of Crowds』。
ここでは、集団の判断が賢くなる条件として 多様性・独立性・分散(中央の命令がない)・集約(平均などでまとめる) が重要だと説明されます。
顔の「平均が魅力的に見えやすい」話も研究があります。複数の顔を合成した“平均顔”が、元の顔より魅力的に評価されやすく、さらに合成する人数が増えるほどその傾向が強まった、という報告があります。

集合知を壊す○○の正体
では、なぜ会議や選挙は「いつも賢い結論」にならないのでしょう。
理由はシンプルで、集合知の条件が崩れるからです。
1つ目は、情報が偏ること。
事実よりも「気分が良くなる言葉」や「怖がらせる言葉」だけが拡散すると、平均は賢さではなく、誘導の平均になります。
2つ目は、自由が消えること。
会社でも地域でも、強い人が「逆らうと損するぞ」という空気を出すと、人は黙ります。
黙った瞬間、集団は“みんなの知恵”ではなく、“偉い人の答え”に変わります。
3つ目は、真実が減ること。
証拠や資料が少ないと、判断は「印象」で決まります。印象は操作しやすい。だから嘘が勝ちやすい。
ここで大事なのが、価値の三本柱です。
自由・平等・真実。これは「愛」がある社会なら自然に守られる柱でもあります。
愛があるなら、相手を縛りすぎない。差別しない。嘘で操らない。
この3つが欠けると、集合知は発動しません。
だから私たちができることは大げさじゃなくていい。
・一次情報に近いものを少し増やす
・違う意見を即ブロックしない
・圧の強い場から距離を取る
この小さな行動が、集合知の土台を作ります。

まとめ
混沌とした時代ほど、「正しさ」は誰か1人の頭に宿るより、自由な人々の間に生まれます。
焦りが強いと、人は“強い言葉”に吸い寄せられます。でも、強い言葉がいつも真実とは限りません。
あなたが今日できるのは、たった一つ。
「誘導されない場所で、静かに材料を集めること」。
それだけで、人生の選択は少しずつ精度が上がります。
夜が濃いほど、灯りは目立つ。あなたの小さな冷静さが、誰かの道しるべになります。