優しさが“便利”に変わる瞬間
優しい人ほど、頼まれごとを断れません。相手を傷つけたくないし、空気を壊したくない。だから「私がやれば早いし…」と引き受けます。
でも、ここに落とし穴があります。最初は「ありがとう」だったのに、回数が増えると、相手の中でそれが“標準装備”になります。すると、感謝は薄れ、いつのまにか「やって当たり前」に変わるのです。
怖いのは、あなたが何かを断った瞬間だけ、急に「冷たい人」扱いされること。優しさが、相手の都合のいい道具になったサインかもしれません。

断れない優しさは、搾取に接続されやすい
ここで大事なのは、「相手が悪い」と決めつけることではありません。人はみんな、ラクな方へ流れます。坂道に置いたボールみたいに。
そして“断れない人”がいると、人は無意識にそこへ頼り続けます。悪気がなくても、です。
さらに厄介なのは、周りの空気です。
「いつもやってくれる人」という役が定着すると、あなたが一回休んだだけで、周囲がザワつきます。まるで、乾電池が切れたリモコンを「壊れた!」と言われるような理不尽さ。
あなたは人間です。電池ではありません。
優しさを守る“責任の線引き”
解決は、「優しくしない」ことではありません。優しさは、世界を温める光です。問題は、使い方です。
ポイントは3つあります。
- 責任の線を引く
「それは私の担当ではない」「そこは相手がやる部分」と、心の中で線を引きます。線がないと、相手はどこまでも入ってきます。 - 断る=攻撃ではない、と知る
断ることは、相手を殴ることではありません。自分の体力と時間を守る“ドアの鍵”です。鍵がない家は、いつか荒れます。 - 言い方をテンプレ化する
迷うほど、優しい人は疲れます。だから短い定型文が効きます。
例:「今は難しいです」「今回はできません」「私ではなく◯◯さんに相談してみてください」
これだけで、罪悪感はかなり減ります。

境界線は“冷たさ”ではなく、愛の形
境界線を作ると、最初は揺れます。「嫌われたらどうしよう」と思うかもしれません。
でも、ここで覚えておいてください。**境界線がない優しさは、長持ちしません。**燃え尽きます。そうなると、あなたの優しさは世界から消えます。もったいない。
本当の優しさは、“自分を守った上で”差し出すものです。自分の心と体が元気であることが、優しさの土台になります。
あなたは、便利な人になるために生まれたわけじゃありません。あなたの人生のハンドルは、あなたが握っていいのです。