努力が足りないのではなく、場所がズレていることがある
一生けんめい頑張っているのに、なぜか結果が出ない。
そんなとき、私たちはすぐに「自分がダメなんだ」「もっと努力しないと」と考えがちです。
でも私は、そうとは限らないと思います。
努力しても報われない原因は、根性不足ではなく、場所や役割のズレかもしれません。
たとえば、魚に「木に登れ」と言っても苦しいだけです。
反対に、水の中ならすいすい泳げます。
人も同じで、合わない場所では、どれだけ水をあげても花は咲きにくいのです。
だから大事なのは、努力をやめることではありません。
努力の向きを見直すことです。
「ここは自分が活きる場所か?」と立ち止まって考えることが、実は最初の努力なのだと思います。

引用から考える――努力には順番がある
「努力には階層性があります。たとえばある職場で人一倍努力しているのになかなか成果が出ないというとき、もしかしたらそれは努力不足なのではなく、そもそも『場所が悪い』、つまりその仕事が求める資質と本人の資質がフィットしていない可能性があります。」(『ニュータイプの時代』山口周著)
この言葉を読んだとき、心の中に静かな光が差しました。
『ニュータイプの時代』は山口周さんの著書で、ダイヤモンド社から2019年に刊行されています。
この引用が教えてくれるのは、努力には順番があるということです。
多くの人は、うまくいかないと「もっと頑張る」に進みます。
でもその前に、「その頑張り方は自分に合っているのか」を見たほうがいい。
人と話すのが得意な人は、裏方より接客や調整役のほうが力を出せるかもしれません。
コツコツ積み上げるのが得意な人は、短期勝負より、長く続ける仕事のほうが向いているかもしれません。
苦しい努力は、あなたの価値が低い証拠ではありません。
ただ、立っている場所が少しズレている。
そう考えるだけで、自分を責める心はずいぶん軽くなります。

実例とエビデンス――「フィット」があると人は伸びやすい
この考えは、気休めではありません。
経営や仕事の研究でも、人と役割の相性は大切だと考えられています。
まず、ジム・コリンズは「まず適切な人をバスに乗せ、さらに適切な席に座らせることが大事だ」という考えを示しています。公式サイトでも、右の席かどうかが重要で、合わない席なら人は苦しんだり失敗したりすると語られています。
次に、Gallupの分析では、自分の強みを毎日使っている人は、仕事への熱中度が高く、離職しにくく、生産性にもプラスが出ると報告されています。つまり、弱みを必死に埋めるだけでなく、強みが使える環境のほうが、人は前向きに働きやすいのです。
さらに、仕事との適合を調べたメタ分析では、person-job fit つまり「人と仕事の合い方」は、仕事への満足や成果、離職行動などと広く関係していました。別の系統的レビューでも、interest fit は全体的な仕事満足と有意に結びつくとされています。
つまり、「合う・合わない」は気のせいではありません。
根性論だけでは片づけられない、ちゃんとしたテーマなのです。

まとめ――努力は、自分を責めるためではなく、光らせるためにある
頑張っているのに苦しいとき、あなたは自分を責めすぎなくていい。
もしかしたら悪いのは、あなたではなく、今の席かもしれません。
今日からできる小さな一歩は、こんなことで十分です。
まず、しんどい作業を3つ書き出す。
次に、なぜか少し楽にできることを3つ書く。
そして、その「楽にできること」が活きる場所を1つ探してみる。
部署でも、副業でも、学び直しでもかまいません。
努力は、あなたを削るためのものではありません。
あなたをあたたかく光らせるための燃料です。
燃やす場所が合えば、同じ火でも、ちゃんと人を照らします。
報われなかった日々も、ムダだったわけではありません。
それはただ、「あなたに合う土を探していた時間」だったのです。
焦らず、でも希望は手放さずに、自分が伸びる場所へ歩いていきましょう。