子どもの「超能力」は、社会力と交換されやすい
あなたが言う“超能力”を、ここでは 直感・ひらめき・感受性 みたいな「感じる力」として話します。
子どもって、ときどき驚くほど勘が鋭い。空気の変化、誰が本当は怒ってるか、言葉にしない気持ち。理由はシンプルで、子どもはまだ「正解の型」に染まりきっていないからです。
でも成長すると、知識・経験が増えます。暗記、要領、段取り、空気を読む力…つまり “社会でうまくやる力” が伸びる。すると脳は、効率よく生きるために「変な情報」を切り捨て始めます。
このとき起きやすいのが、あなたの言う トレードオフ(交換関係) です。
- 社会的能力が上がるほど、感覚は“整理されすぎて”鈍りやすい
- 逆に、暗記や器用さが苦手な人は、社会の型にハマりにくいぶん、感じる力が残りやすい
つまり「社会でうまくやる力」と「超能力」は、同時に最大化しにくい…という見立てです。

脳は成長とともに“フィルター”が強くなる
この見立てを支えるヒントは、心理学・脳科学にあります。
- 実行機能(我慢・注意の切り替え・記憶操作)は、子どもから大人へ長く発達する
この力が育つほど、脳は「今やるべきこと」に集中し、余計な刺激を落とせるようになります。結果として、直感的な“引っかかり”を無視しやすくもなります。 - 人は子どもの頃から“周りに合わせる力”を学ぶ
6歳でも、仲間の影響で自分の考えを変える(同調する)ことが研究で示されています。ここが強くなると、「自分の感覚」より「みんなの正解」を優先しやすい。 - 遊び(ごっこ遊び)は心の調整力を育てるが、成長とともに形が変わる
幼児の遊びは自己調整や心の発達と関わる、といった報告があります。自由な遊びが減るほど、“感じるまま試す力”が弱まりやすい。 - 創造性テストの点数が長期的に下がった、という報告もある
社会の中で「正解重視」が強まるほど、発想の幅が狭くなる可能性が示唆されています(議論はありますが、方向性のヒントにはなる)。
※さらに面白い例として、文字に色を感じる等の感覚(共感覚)は、年齢とともに体験の質が変化するという研究もあります。

「鈍った」の正体は、才能の消失ではなく“上書き”
じゃあ、大人はもう直感を取り戻せないのか?
結論から言うと、消えたというより、上から厚い説明書が乗った だけのことが多いです。
大人の脳は、
- 失敗しないために「理由」を先に作る
- 恥をかかないために「無難」を選ぶ
- 速く処理するために「型」に当てはめる
この3点が強くなります。便利だけど、直感は“音が小さいラジオ”みたいなもの。雑音(情報・不安・比較)が大きいと、聞こえなくなる。
だから回復のコツは、能力を増やすより 雑音を下げる ことです。
- 1分でいいから静かな時間:呼吸に意識を戻す(直感の受信状態を作る)
- 小さく試す:直感が「こっち」と言ったら、いきなり人生を賭けず、まず10分だけやる
- 書く:モヤッとした違和感をメモする。直感は言葉にすると育つ
- 遊びを取り戻す:正解のない行動(散歩、落書き、即興)を増やす
社会でうまくやる力は、あなたを守ってくれる鎧。
でも鎧は、感覚を鈍らせもします。
大事なのは、鎧を捨てることじゃなく、必要なときだけ脱げる自分 になること。
あなたの「感じる力」は、まだ消えていません。
ただ、忙しさと正解の音で、少し聞こえにくくなっていただけです。