「性格」だけを疑うと、真犯人を逃す
パワハラが起きると、私たちはつい「上司の性格が悪い」で片づけがちです。
でも本当に疑うべきは、その人の性格と同時に、組織の構造です。
立場が上がるほど、視野は「目の前の人」から「数字・成果・全体最適」へ寄りやすい。すると、部下の不安や疲れが見えにくくなります。
しかも、出世後に冷たくなるのは、単なる性格の悪化だけではなく、役割の合理化でも起きます。本人の中では「仕事が回る最適解」になってしまうからです。
さらに、権力差がある場所では、強い言動や圧が生まれやすい。つまり、パワハラは“起きる条件がそろいやすい”環境で増えます。
問題は「悪人」だけじゃない。構造が、普通の人を乱暴にすることがあるんです。

パワハラの定義と「権力の副作用」
まず国の定義から。厚生労働省は職場のパワハラを、
①優越的な関係を背景にした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超える
③就業環境が害される
この3要素を満たすものとしています。
また、代表的な言動は「6類型」(身体的攻撃/精神的攻撃/人間関係からの切り離し/過大な要求/過小な要求/個の侵害)として整理されています。
そして企業には防止措置が求められ、制度としても整備が進んでいます。
さらに研究面では、「権力を持つと、相手の気持ちや見え方を読み取る力(視点取得)が下がりやすい」ことが示されています。
つまり、上に行くほど冷たく見えるのは、根性論ではなく、**権力が生む“鈍さ”**でも起こりうるわけです。

構造が人を変える「3つの仕組み」
① 数字の神さま化
「目標未達=悪」という空気が強いほど、人は焦り、言葉が荒くなります。成果を守るために、心よりも数字を優先してしまう。
② 逆らえない沈黙が増える
権力差が大きいと、部下は“嫌と言えない”。すると上の人は「これで正しい」と勘違いし、圧が強化される。静かな悪循環です。
③ 正義の皮をかぶる
「君のため」「会社のため」という言葉は便利です。善意の顔をして、境界線(適正な指導の範囲)を越えやすい。
じゃあ、どうするか。現実的にはこの3つが効きます。
- 言葉を記録する(日時・場所・発言。あなたの記憶を守る盾)
- 第三者の回路を作る(相談窓口、産業医、外部相談など)
- 境界線の宣言(短くでOK:「その言い方だと困ります。業務の話に戻しましょう」)
スピリチュアルに言えば、あなたの心は“光のランタン”。乱暴な圧で灯りを消される必要はありません。灯りは、守っていい。

あなたが悪いのではなく、環境が歪んでいるだけ
パワハラは「性格の問題」に見えて、実は構造の問題で増幅します。
権力差・数字至上・沈黙の空気——この3点がそろうと、普通の人でも強い圧を出しやすい。だからこそ、あなたは自分を責めすぎないでください。
混沌とした時代ほど、心は疲れやすい。でも、あなたの人生は会社の機嫌で決まらない。
今日できるのは、たった一つでいい。「私は傷ついていい存在じゃない」と思い出すこと。
その瞬間から、世界は少しだけ、あなたの味方になります。